2014年10月20日

進まない自殺対策――怠け病を患っているのは誰だ!?



「心が弱いからうつ病になる」
「根性が足りないからだ。仕事をもっとがんばればうつ病なんて治る」
「気の持ちようだ。前向きになればなんとかなる」

等々。

ネット上で今もなお声を大にして叫ばれる根性論。うつ病は怠け病や甘え病として、心の弱い人、精神が弱い人がなる病気として誤解されたままです。
本当は違います。うつ病は心の弱い人がなる病気ではありません。むしろ、がんばりすぎてしまう人がなる病気であると解されています。

もし心の弱い人がなる病気だと言っている人がいたら、その人に聞いてみてください。あなたは精神科医なのですか? と。
専門家でもない人間がどうして病気の本質をわかった気になって、思い上がっているのでしょうか?

大企業の管理職の人でさえ、うつ病=心の弱い人がなる怠け病、甘え病だと思う人が多いとのこと。

しかし、本当に怠け病にかかっているのはどちらなのでしょうか。
うつ病を患っている人でしょうか?
それとも、うつ病のことをよく知りもせず、心の弱い人がなる病気と決めつけて、まともに向かい合わず、叱咤激励して余計に患者を苦しめて対策を講じようともしない。

こういう管理職側の人間のほうが他ならぬ怠け病にかかっていると断言できます。

うつ病のことを知ろうともしないということは、知る努力を怠っているということ。
人の性格は千差万別。単純に真面目で責任感の強い人間がうつ病になるのだと決めつけるのは、多種多様な人の性格を見ることを怠っています。
「うつ病を励ましてはいけない」というのはそのメカニズムを知れば誰もがわかること。がんばりすぎて悲鳴を上げている人に対して、「もっとがんばれ」などと言うことは、ボロボロの心にさらに鞭打つ残酷非道な行為です。
そんなことはいろんな本に書いてあるのに図書館で勉強もできない、怠けている証拠です。

つまり、声高にうつ病のことを怠け病だと誤った持論を垂れ流している人のほうがよっぽど怠けているのです。
だって、うつ病のことを知ろうとしていないのだから。


ネットで調べればちゃんと情報も手に入ります。図書館で本を読む暇がなくったって、心が弱いからどうのこうの言ってる暇があれば目の前のパソコンなりスマートフォンなりで検索すればいいのです。
怠けていませんか? そこのあなた。


被害者ぶっているように聞こえてしまうかもしれませんね。
でも、うつ病のことを知ろうともしない怠け人間ばかりのこの国では、自殺対策も遅々として進みません。

うつ病患者の方はうつ病と診断されて、医者からうつ病についての話を聞かされたあとでも、「自分は弱い人間だ」「自分は他人よりも劣っている」とマイナス思考の螺旋にはまってしまい、そこから抜け出すことのできない人が死という選択をとります。
選択をとる、という言い方は誤りかもしれません。ネガティブのループから抜け出す方法が、死ぬこと以外に選べなくなってしまうのです。
そんな人が上司や家族から「お前は心が弱いからうつ病になったんだ。そんなものは怠け病だ。気の持ちようなんだからそんなことで仕事を休むな」などと吹聴されたら、どうなってしまうでしょうか?
想像力が欠如していることも怠け者であることの証左です。


話が逸れてしまいますが、心的外傷後ストレス障害(PTSD)という言葉をご存知ですか。
災害や犯罪に巻き込まれたり、虐待を受けたりすることで、心的外傷(トラウマ)によって精神的ショックを受け、普通の生活を送ることが難しくなってしまう障害です。

この心的外傷(=精神的外傷)のことを、体の表面につけられた傷と誤解している人がいるようです。
「外傷」という言葉だけを受け取ってしまって、それを虐待や自傷行為などによって体につけられた傷と勘違いしているんでしょう。
心的外傷(トラウマ)とは心の傷であって、体の表面に傷があるかどうかは関係ありません。
それなのに、その人が正しい知識を得ようとしないのは怠慢であり、つまり怠け病を患っているとしか思えません。


また、うつ病の症状には倦怠感というものがあります。
やる気が出ない=怠け者という烙印を押されるのが社会の常なら、自殺者が減るわけないだろうと思います。
やりたいこともやれなくて、そもそもなにがやりたいのかわからない。そういう倦怠感に苦しんでいる人を一蹴し、存在そのものを否定するような言葉なのが、「怠け者」という言葉なのです。

自殺対策が進んでいない原因は、このようにうつ病に対する理解が完全に誤っているからです。
では何をすればいいのか、どうすればいいのか、それはもうわかっているはずです。答えはもう出ています。

以下の自殺問題を取り上げたドキュメンタリー映画『SAVING 10,000 - Winning a War on Suicide in Japan』をぜひ見てほしいと思います。



何度観ても考えさせられることが多いですね。
しかし、メンタルクリニックの話をしている終盤、登場する薬がなぜ5-ASA製剤メサラジン(ペンタサ錠)なのでしょうか。赤いパッケージに包まれたこの薬は、炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎およびクローン病に対して使われる薬です。ここで登場するのは腑に落ちません。

末尾に載せますが、興味がある方は雨宮処凛先生の『自殺のコスト』という本も読んでみてください。
このドキュメンタリーとは少々違う側面から自殺の問題点を解説しています。


さて、日本のセーフティネット(社会保障)というのは案外もろいものです。それはセーフティネットをより強固なものに変えようとする努力を怠っていることに他なりません。
いのちの電話や東京自殺防止センターの電話相談も酷いという話を聞いたことがあります。何十分、何時間もつながらなくて、やっとつながったと思ったら、相談員が叱咤、悪罵、中傷の言葉を突き刺してくることもあるとか。
そんな悪質な組織に電話する暇と電話代は、メンタルクリニックで治療およびカウンセリングを受けることに使ったほうがよっぽどいいです。


自殺が減っていないのではなく、政府や公務員、いのちの電話相談員、東京自殺防止センターの職員、会社の管理職や役員の人などがむしろ意図的に自殺を増やしているのではないか?
そういう陰謀すら思い浮かんできます。昨今の不景気を見ると、人が減ってくれたほうが好都合ですから。

でもそんなはずはないんです。人の命はそんなに安っぽいものなのでしょうか。掃いて捨てるようなゴミ同然の価値しかないとは思えません。

わかっているはずですよね?

うつ病のことをちゃんと理解し、もしうつ病になってしまってもしっかりとした治療やアフターケア(休職手続や復帰のための職業訓練など)、同僚や上司、家族やパートナーの十分な理解と支援を受けられるようにすること。
過労自殺に追い込まれる人がいなくなるよう、労働環境を整えること。

これは会社レベルの問題ではなく、個人レベルの問題です。だって、ちょっと調べればすぐにわかることなんですから。
調べてもわからなかったら専門家に聞けばいい。
それでもわからないというなら、その人こそ思考の固定化が起こっているうつ病患者です。あるいは妄想性パーソナリティ障害かもしれない。病院へ連れて行ってあげましょう。

「昔はうつ病なんてなかった」とか言ってる人もおかしいですよね。医学の進歩や定義の変化で、今まで病気として治療や支援を受けられなかった人も治療や支援を受けられるようになった。「昔はうつ病なんてなかった」と言っている人は、医療の進歩を否定しているのです。一体学校で何を学んできたのでしょうか。


薬がうつ病の症状を進行させているという意味不明な意見を言っている人もいました。
その人にも聞いてみたい。あなたは精神科医なのですか? と。
それなのに素人の判断を信じて薬を勝手にやめるというのはどうかしています。
そういう動画もYouTubeに上がっているのですが、「薬を飲んでもよくならない」という固定観念に縛られてしまった人は医師の指示もなく自分で薬をやめ、苦しい症状を耐えて、今度は「薬は悪いもの」という固定観念に縛られて思考がロックしてしまっています。この人は、ちゃんと医師の指示通りに薬を飲まなかったばっかりに、今も苦しんでいるのです。


私はいつも、精神科や心療内科という看板を下げて、うつ病を含めた精神疾患・精神障害を脳神経内科に統合するべきだという意見を持っています。
脳神経内科は頭痛や認知症、パーキンソン病などを専門とする科。精神科や心療内科を統合してもよいはずです。

精神科や心療内科という看板そのものが、うつ病=心の病気であるという誤解を生んでしまうのだと思います。
うつ病のメカニズムは脳内の神経物質によるものなのですから、正確には脳神経の病気です。

「心の風邪」という言葉でうつ病を称する人も、うつ病のことをちゃんと知ろうとしていない怠け者であるに違いないのです。
それは風邪と同じように誰でもうつ病になってしまう可能性はあるということを意味しているのだろうと思いますが、あまりにも安易で、あまりにも軽視した言葉だからです。
人は風邪で死ぬことはほとんどありませんよね。でも、うつ病で自殺する人は多いです。風邪なんかよりもうつ病のほうが致死率はずっと高いんです。
「心の風邪」という簡単な言葉で済ませてしまう人も、怠けている証拠なのです。


救いがあるとすれば、風邪を治療する薬はまだできていませんが、うつ病を治療する薬はすでにあるということです(※現在の風邪薬は、症状を緩和させるだけであって風邪の原因そのものを治すことはできません)。

「心が弱い」と言っている人の言うことはたとえその人が家族であっても一切聞く耳を持たず、医師の言うことのみを聞き入れること。
いのちの電話や東京自殺防止センターなどの悪質な組織なんかに電話相談せず、医療機関で治療とカウンセリングを受けること。
薬を自己判断でやめないで、治療を続けること。
そうすれば、うつ病が治る可能性はずっと高くなります。自殺をしないでも負のスパイラルから抜け出せるんです。
自分は弱い人間ではなく、ただ単にエネルギー切れになってしまっただけ。これからも生きていてもいいんだと思える日が必ず来るはずです。

「心の弱い人がうつ病になるんだ」という世迷い言を言って、まともに向き合わず頭ごなしに否定して排斥し、うつ病の症状を訴えている人の治療開始を遅らせ、自殺者を増やしてしまう。
それはもはや殺人と同義ではないでしょうか。



2014.10.22追記:以下の記事もぜひ読んでみることをお勧めいたします。

安楽死や自殺幇助が合法化された国々で起こっていること 児玉真美 - SYNODOS JOURNAL(シノドス・ジャーナル) - 朝日新聞社(WEBRONZA)



  

2014年10月5日

話題の蚊取りボトルを作ってみました【夏休み自由研究】

数ヶ月ほど前に世界的に話題になった「蚊取りボトル」をご存知でしょうか。

【世界の知恵袋】ペットボトルで簡単にできる「蚊取りボトル」がスゴイ!

蚊といえば嫌われる虫の上位にランクインする昆虫で、数多の病原菌の媒介者として知られています。
「マラリアなどの原生動物病原体、フィラリアなどの線虫病原体、黄熱病、デング熱、脳炎、ウエストナイル熱、チクングニア熱などのウイルス病原体を媒介する。日本を含む東南アジアでは、主にコガタアカイエカが日本脳炎を媒介する」と、Wikipediaにはあります

ここ最近デング熱が流行し、日本でも罹患報告が出始めて危険視されています。
メスが人の血を吸う際に、人体に注入された唾液がアレルギー反応を起こして痒みを発生させることも広く知られていますね。

そこで、この記事を見て自分でもつくりたくなったのでつくってみました。

まさに夏休みの自由研究ですね。もう学生じゃありませんが、探究心は大事かと思います。

しかしながら、7月後半の時点で蚊は数匹しか見かけておりませんでした。蚊ではない変な小さな羽虫がよくいるので、そいつにも効果があるのかどうか実験です。
「つくってみたけど、あんまり効果がないヨ~(ToT)」とか嘆いている人をよく見かけるのですが、日付を見るとまだ5月とか6月……。そんな時分にあなたの周りに蚊が発生しているんですか? という疑問もありました。
しかし、結果を見ればその疑問に答えが出ました。

結論から言うと、ほとんどとれません。
日本の環境では、蚊取りボトルを使うのには適さないようです。


なぜなんでしょうか!? 蚊がペットボトルにびっしりとれるほどの画像があんなにも話題になったのに……。
その理由についても調べたり考えたりしてみました。
詳しい実験内容と考察については以下のとおりです。